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チームバチスタ 白鳥登場が遅い理由 の考察 [読書(ミステリー)]

海堂 尊 著 : チーム・バチスタの栄光

多くの方のブログを参考にさせていただき読み始めた。
みなさん高評価。

医療ミステリー。

蓋を開けてみないと想像がつかない、今まで読んだことのないテーマ。
前半は淡々と読み進めていく、
自分の知る医療の知識をフル活用して。

難しい言葉もそれほどなく、なかなかこぎみいい。
そして下巻に入った途端に、さらに面白さが倍増する。

それは小憎たらしくも、感心するテクニックを持つ白鳥の登場による。
容疑者となっている多数の人間との接触、その掛け合いが面白過ぎる。
型破りすぎる調査方法は、過激である。
しかし、作者のうまいところは、事前に(白鳥登場前に)かなり深く容疑者を紹介する。
その後の白鳥の登場。
その過激な調査が、容疑者たちがどのような反応を示すかワクワクさせる。
とくに性格の悪そうな容疑者は、白鳥が怒らせるとどうなるか楽しみだ。。。

不謹慎だが実生活で嫌いな人間が、他の人間に翻弄されるのを見るようで・・・。
ミステリーというより、そんなところが最も惹かれたり。性格悪~。

主人公である田口の人間らしさを評価する読者は多いと思う。

しかし僕はバチスタの執刀医、桐生が一番好きだ。
天才的な腕前、それでいて取り組み方が紳士である。
全てが完璧に見えるが、後半、彼の弱さが垣間見れる。

また手術のシーンの緊張感、けれども桐生のこぎみいい執刀ぶりの描写はさすが。

医療ミステリー。新境地だが、著者の続編も見逃せないと思う一冊。


 

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ [宝島社文庫] (宝島社文庫 599)

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ [宝島社文庫] (宝島社文庫 599)

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2007/11/10
  • メディア: 文庫

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ [宝島社文庫] (宝島社文庫 (600))

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ [宝島社文庫] (宝島社文庫 (600))

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2007/11/10
  • メディア: 文庫



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姑獲鳥の夏を再読するのは大変なので、DVDで・・・。 [読書(ミステリー)]

京極 夏彦  著 : 姑獲鳥の夏

DVDで姑獲鳥の夏を観た。
さすがに再読するパワーは・・・。あの分厚さ。

姑獲鳥の夏

姑獲鳥の夏

  • サービス名: TSUTAYA DISCAS
  • 会社名: 株式会社 ツタヤ・ディスカス

原作を読んだのは、学生の頃だったか、
社会人になってからなのか忘れてしまった。

確か夏休みであったのは覚えている。

そういえば学生の頃、一度ホラー小説ブームがあった。
リングやパラサイトイヴなど、僕も読みあさった。

その後、京極夏彦が脚光を浴び、
夏休みにこの分厚い本を読むのは贅沢だろうとワクワクしていたのを覚えている。

著者は、文体に非常に気を使う。
読者が読みやすいように、句読点、読点の位置も気にするほどに

本書はまた、手が込んでいる。
トリックが二重三重に重なり合う。

まあもっとも犯人はトリックを意図的に作ろうとはしていないのだが。
心理的メカニズムが、重要な要素となるところは賛否のあるところ。

僕も正直、気になる点はあった。

しかし世界感がそれを救う。
夏目漱石のような近代的な匂い、それでいながら古くない。

主人公のキャラクターも良い。
映画も面白かったが、もっと主人公が前に出てもいいかなとは思った。

この本は、やっぱり夏によみたい。

ホラーと簡単にかたずけるのは、ナンセンス。
科学的な解明が最後に待っているのだから。
そう、この世に不思議なことなど何もないのだから。

 

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1998/09
  • メディア: 文庫


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寒い季節を感じてハードボイルド [読書(ミステリー)]

志水 辰夫 著:行きずりの街

1991年、宮部みゆき、高村薫など、そうそうのメンバーを抑え、
『このミステリーがすごい!』大賞に輝いた作品。

下記にて参照 

http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A4%B3%A4%CE%A5%DF%A5%B9%A5%C6%A5%EA%A1%BC%A4%AC%A4%B9%A4%B4%A4%A4%A1%AA

これだけでも期待感は高まる。

それに何故か僕は秋から少しずつ寒くなるにつれ、
ハードボイルドが読みたくなる 変な性質である。

おそらく昔から、推理系ドラマが寒い時期に多くやっており、
その印象が強いためかもしれない。

特にオアシスや、U2を聴きながら読むと、雰囲気もひとしお。

さて、本書はというとハラハラドキドキ、そして甘美さを併せ持つハードボイルド。
著者のことはあまり知らなかったが、うまくまとまっている作品だと思う。

しかし注意したいのは、文体が少し読み辛い。
僕は読むのにだいぶ時間がかかってしまった。

また、主人公が中年の親父で、戦いに弱いのが×。
その設定がリアルなのだが、ハードボイルドで弱いというのが少し残念。

なんの変哲もない親父が、謎を解決していく醍醐味はあるけれど・・・。

一番のハマリどころは、複数の人間関係、その過去が実は濃密な関係として結び付くところ。
深くは語らないでおくが、学校経営の闇をテーマにした社会派ミステリーといった感じ。

 

行きずりの街 (新潮文庫)

行きずりの街 (新潮文庫)

  • 作者: 志水 辰夫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1994/01
  • メディア: 文庫


白い巨塔には及ばないが、系統的に好きな人にはいいかも。
秋の夜長というよりは、冬の闇に、電気を落として読むのに最適な作品。


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良くも悪くも高評価 [読書(ミステリー)]

石持 浅海 著 :月の扉

ハイジャックを犯人側から書いた作品である。その背景にあるものは・・・。

  

犯人側という視点が面白く、またハイジャック部分ではなく、
別の部分でもミステリーが動き出す。

つまり、ハイジャックのミステリーと、
別の部分(あえてニュアンスを濁らせます)のミステリーのWパンチ。

文教堂書店の店頭評価、書籍のネット通販の評価等、全てにおいて高評価。
このミステリーがすごい」「本格ミステリ・ベスト10」などのランキングでも、
上位を獲得したそうだ。

僕は赤坂の文教堂で、オススメとして大きく取り扱っているのを見て
気になっていた。
後日、ブックオフでスゴイ安値で見つけてしまって購入したのだが・・・。
すいません、文教堂の店員さん。

この作品は自分としても、なかなか楽しめた作品であった。
ただし、いい意味としても悪い意味としてもだ。
作品としてはなかなか秀抜である。

しかし本格派ミステリーではない。
SF的要素が3割といったところか。
僕は、SF的になると感じていなかった中盤までは、素晴らしいと思っていた。
しかし、SF的要素が入ると、推理に逃げ道や自分の常識の抜け道ができてしまう。
その点に不満が残る。
最初からSFだと割り切れるのだが、頭の固い僕は柔軟に楽しめないのだ。


月の扉

月の扉

  • 作者: 石持 浅海
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/04/12
  • メディア: 文庫



ならお前の好きな村上春樹だってそうではないか」と言われれば、
答えに窮してしまうが、まだ頭の柔軟な若いときに読んだからか、
自分の中で春樹ワールドができあがっていて、許されてしまうのだ。

かなり勝手な言い分であるが。

そして気になるのが最後の結末。
そうきたかっと。
よくも悪くも、あーあ!うーん、僕はそうはしたくないけれど。
そこじゃない、別の部分の描写を体験させて欲しかった!
あれそれ言っててうるさいですか?
でもそう思ってしまう。
イイコトもキニイラナイ部分も書いてしまったが、
うるさく、そして抽象的に書いたこの意味を共有したい方は是非お試しを。


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