藤原伊織 著: テロリストのパラソル [読書(ミステリー)]
藤原伊織 著: テロリストのパラソル
江戸川乱歩賞及び直木賞受賞作のW受賞はダテじゃない。
面白かった。
初めて本書を知ってから10年近く経ってしまった。
いずれ読もうと思いつつ、やっと読めた。
その間に著者が亡くなってしまったのは残念でならない。
アル中が主人公とあって嫌煙していたのは確か。
ただ、雑誌「ダ・ヴィンチ」などのランキングで、
読むとお酒が飲みたくなる小説ランキングでトップ10入りしている。
ことにウィスキーを飲むシーンが多い。
村上春樹に出てくる小説では、ウィスキーを嘗めるという表現が近いが、
こちらの小説は「呑む」に近い。
右とか左系の小説が好きだが、村上龍 的なテイストもあった。
主人公は学生闘争の折、事故で爆発した爆弾製造容疑にかけられてしまう。
潜伏を続けて数年、日常通う公園で爆破テロに遭遇して・・・。
見どころは多いが、浅井という元警察官のヤクザとの友情、
このシーンなどはまさにハードボイルド。
ホームレスやら宗教やら、設定も幅広い。
最終的に、偶然が重なりすぎてる・・・と一瞬興ざめしたが、
実はそれは犯人の計画のひとつだった。
人間模様を描くのが巧みで、本書との出会いは遅くなったが、
ちゃんと読了できてよかった。
これはオススメ。
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